結婚生活が危機的状況にある中で、主婦が遭遇する抑圧、被害妄想、不信感の物語を、森ガキ監督が巧妙に描き出した。主演の江口のりこは、壊れゆく妻を見事に演じている。
アルビン・ツェー
(香港国際映画祭[夏季] キュレーター)
どこまでが偽装?
何が真実?
愛についてのあれこれが
江口のりこによって掻き乱される。
このトリックを一度で見破れるか。
それは言葉から服からほつれ出す。
伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)
これこそ義理の嫁の話。
観始めたときは「江口のりこ、頑張ってるな」だったのが
観終わる頃には「桃子さん、頑張って!」になってた。
『セーラー服と機関銃』ならぬ『桃子とチェーンソー』
割烹着?いやいや、桃子には着るべき服がない!
岩松了(劇作家・演出家・俳優)
隠れていた痛みが表面化する夫婦の関係を、洗練されたタッチで描いた作品。
女性の目を通して今日の現実の姿がよく捉えられていて、私達の目を惹きつけました。
カレル・オッホ
(カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 芸術監督)
「映画」すぎました。
格好良い映画でした。表現が格好良すぎます。
人物に語らせていないのに人物が語りまくっています。
これを書きながら、なんだか文章が上手くまとまりません。
それは僕の語彙力の問題なのか、まっさらでこの映画と出会ってほしいからなのか、わからない。
人生って怖い!悲しい!最悪!
でもこの映画は最高。
岡山天音(俳優)
必死にしがみついていたものを手放してみても、
人生は案外しぶとく続くかもしれない。
映画が幕を閉じるとき、
始まりを告げる狼煙が上がる。
『愛に乱暴』の放った炎が飛び火して、
あなたの燻る心を焦げつかせてゆく。
児玉美月(映画文筆家)
不条理を丁寧にかき混ぜて、型に流し込んで出来上がった
見た目はすべすべ、中身は醜く凝り固まった男性優位社会。
主婦を《おかしく》したのは本当に周囲の《個人》なのか?
日本映画の文法で、埋められた澱を掘り起こす反語の一作。
SYO(物書き)
主婦・桃子に扮する江口のりこが大変素晴らしい演技で、結婚生活の秘密が明かされていく中で、社会での自分の居場所を見つけようとする。
この映画は、社会の逆境や圧力に直面する人々に、アイデンティティを取り戻すための有意義な対話をもたらす。
森ガキ監督は、メロドラマ的要素を用いながら力強いメッセージで贖いの物語を描いた。それは観る人に深く寄り添って、普遍的な共感を呼ぶだろう。
ディーパックチャラン・チャンドラン(シンガポール日本映画祭2024プログラマー)
暴走する女のヒリヒリした孤独。
痛い。でも愛おしい。
早川千絵(映画監督)
夫は無関心。姑も冷たい。 しんどい。ひりひりする。息が詰まる。
限界を迎えて暴走する桃子には、一種の魅力がある。「もっとやれ」と思ったし、こちらもつられそうになった。
それでも。
孤独に駆け抜けた桃子が到達するラストには、とてつもない人間愛が込められていた。
愛に愛を返してもらえない辛さを抱えつつも、自暴自棄になりきれずに必死に生きている人たちへの、心からのエール。
桃子、あなたも私も幸せになれるよ。絶対に。
ひらりさ(文筆家)
まるでヨーロッパ映画のような佇まい。
ふだんは明るく穏やかな青年である森ガキ監督が、
これでもかこれでもかと、人間をえぐっていく。
小泉孝太郎がいい!スイカがデカい!
福里真一(CMプランナー/BOSS「宇宙人ジョーンズ」シリーズ)
森ガキ組が江口のりこに挑む。脅し、突き放し、追い詰め、泥まみれ。しかし、彼女は全く動じない。しっかり森ガキ映画を牛耳ってる。
ラストの江口のりこの顔は必見!
僕はこれからも、変わらず江口さんのファンを続ける。
光石 研(俳優)
※順不同・敬称略